トラック運転中のトラブル集

 クラッチ滑りについて

  CLUTCH(クラッチ)

原動機(エンジン)から従動軸に、動力を伝達あるいは遮断する装置

 

Q1 そもそもトラックのクラッチはどのような働きをしていますか?

 

A エンジンの動力を駆動軸に伝え駆動車輪を回すための円盤状のもので、クラッチペダルを踏み込んだり、弛めたりすることで、密着したり離れたりする 装置です。エンジン側と駆動軸側に対になって円盤が1枚ずつあり、いわるマニュアル車に搭載されています。いまや普通車はオートマチック車と呼れる自動クラッチが全盛ですが、一昔前の教習所では生徒全員が、教習所の登り坂コースで坂道発進のクラッチ合わせをさせられ、エンストしたりしてあせったことを思い出す人も多いでしょう。

 

Q2 マニュアル車の仕組みはどうなっていますか?

 

A 足元のクラッチペダルを強く踏み込むと、2枚の円盤が離れるので、エンジン動力が伝わらなくなります。ニュートラル(N)は2枚の円盤が離れた状態ですで、エンジンは動いていても、駆動軸には動力が伝わらず車は前進、後退はないわけです。1速、2速または後退(バック)などに変速レバーを操作して入れ、クラッチペダルをゆっくり離すと、エンジンの回転動力が駆動軸に伝わり前進、後退ができるわけです。

 

Q3  今、私達が乗っているオートマチック車の自動クラッチというものはどのようなものでか?

 

A クラッチ部分は特別な油・流体(オートマチックフルード)が満たされています。その中をマニュアル車にあるような対の円盤ではなくいわば、風車のような回転軸が対にあり、エンジン側の風車が回ると、封じ込められた油・流体が流動回転し、駆動軸側の風車が回転するというのが、基本的な仕組みになっています。冒頭にクラッチの仕組みを”原動機(エンジン)から従動軸に、動力を伝達あるいは遮断する装置”と説明しましたが、そもそもクラッチという概念がなくなった (ノークラッチ)車がオートマチック車となります。皆さんご存知の通り、現実的にも、オートマ車にはマニュアル車の左足部分あるべきクラッチが存在しません。オートマチック車が開発されたおかげで、車の免許が飛的にとり易くなったといって過言でないでしょう。今や女性のトラックドライバーも増え、マニュアル車のクラッチを自在に操る女性ドライバーに尊敬の念を抱く初心者オートマ女性ドライバーが多くいることは皆さんんご存知かな?

 

Q4 表題の”クラッチ滑り”とはどのような状況で起こりますか?

 

A マニュアル車のクラッチの対の円盤は長期に使っていると何千回、何万回の密着、切り離しを行っているわけですから、その過酷な摺動は徐々に摩耗(すり減り)を起こしていることは否めません。よく言われているのが、クラッチに左足のつま先をわずかに載せて運転をするくせのある人(半クラ・半クラッチ運転)の車のクラッチが摩耗が早い。また、長期に使用されていた中古マニュアル車はクラッチのすり減りが進んでいるといわれます。

 

Q5 クラッチの滑りというのはどんな状況ですか。

 

A アクセルを踏んでも思うようにスピードが出ない。

エンジン音がうるさいぐらい回転が上がっているのにスピードが出ない。

重量物を積載してないのになんとなく上り坂の進みが悪い。

最悪、車が動かなくなり、立ち往生、やむなく牽引して整備工場に持ち込み、高額の修理費発生!!。

 

Q6 クラッチの滑りは誰でもわかりますか?

   

A  トラックは運送会社にもよりますが、運転手一人に専用のトラックがあてがわれて仕事をするといった方法が普通ですので、タクシーのように複数の運転手が一台のタクシーを常時乗り替わるというケースは少ないです。

そのため、たまたま運転手が体調を崩し欠勤したため、空きのベテラン運転手が乗り替わって”アレッ、クラッチが滑り気味だ”と気づき、出勤した当運転手に「クラッチが滑り気味だが、気づいてなかったのか?」と尋ねると「エッ、クラッチが滑るってどうなっているんですかね?」なんて返事が返ってくることがあります。

クラッチの初期の滑りは微妙ですので、だんだんそれに慣れてしまうとわからないケースもありますので、意識して感覚をとぎすます必要があります。

少しでも走りに違和感を感じたらすぐ整備工場に持ち込み調べてもらうことが必要です。たまには他者の車を借りてクラッチの感覚を比べてみることも必要です。自分でクラッチが滑っているか、調べる方法もありますが、まずは整備工場に持ち込んで調べてもらうのが一番です。

新入社員の新人さんは退職した運転手の補充に雇用され、中古のトラックがあてがわれて仕事を開始するケースが普通ですので、クラッチ滑りについては運行管理者やベテラン運転手に詳しく尋ねておくことが肝心です。

 

 

    雪道走行について

 

Q1 大阪育ちで、場所柄雪はほとんど降らないし、降ってもたいしたこともなく運転免許をとってから雪道など走ったことはありません。運送会社に就職して、雪国方面に配送させられるケースがありそうでう。どんなことに注意したらいいのでしょうか?

 

A 基本的には、自分は雪道走行の経験がないことを強くアピールして、雪国方面の配送を断るのが、無難です。運送会社の配車担当者も雪道走行のリスクは充分認識しているので、できるだけ考慮してくれると思いますが、そうもいかないのが、運送会社勤務のつらいところです。

 

タイヤチェーンを装着した経験のない人は、普段装着の練習をしておくことはかかせません。先輩運転手などに教わって入念に装着の仕方を教わっておくことは絶対に必要です。またタイヤチェーンを装着した経験のある人も、準備されたタイヤチェーンのサイズやチェーンを固定するばねが適正か確認しておくことが大切ですので、平時の装着練習は欠かせません。備えあって憂いなしです。

 

Q2 事前に準備しておいたら役立つ携行品など教えてください。

 

A まずは食糧です。不測の雪道渋滞などにまきこまれたら何十時間も身動きがとれない事態はニュースなどで見聞きしたことはあるでしょう。少なくとも3食分程度の余分の食料、飲み物は準備しておいてください。”あの場所のコンビニで買っておけばよかったのに”なんてあとの祭りの後悔などしないように。

あとは、雪かき用の小型スコップ、雪道用の長靴、防寒服、ホッカイロ、必要であれば、側溝などへの落輪対策用の角材(端をななめにそぎ落としたもの)4本程度等。

 

Q3 タイヤチェーンを装着するタイミングはいつがいいのですか?

 

A 基本的には、何台かの対向車がかちゃかちゃとチェーンを鳴らして走ってくる頃がチェーンのはめ時です。まだ、こちらは雪が少ないし、道路は除雪されているし、凍結もないとたかをくくって深入りしていくと、チェーン装着の場所もなくなって、難儀することもありますので、早めに適当な装着広場を見つけて余裕をもって装着することが必要です。

 

Q4 雪道走行中の注意すべきことはありますか?

 

A 橋梁などは凍結がしやすい場所です。道路は凍結してなくとも、橋は構造上凍結が進んでいます。橋を渡るときは目をこらして橋上を見ると、ぴかっと光って凍結しているのがわかります。スピードをさらに減速してブレーキ操作を誤らないようにしましょう。そうした橋にはたいてい凍結防止剤( 塩化ナトリウム )・ 融雪剤( 塩化カルシウム )が事前に準備してあります。

必要であれば、遠慮なく袋を破いて準備の小型スコップで道路上に撒きましょう。(化学薬品なので、眼などに入らないように、手袋も必要です) 

 

Q5 雪道で前方を走る軽自動車がちんたら走っています。いらつくので、対向車も見えないし、追い抜いてもいいですか?

 

A 雪道走行中、前車を追い抜くのは絶対やめて下さい。追い抜くのは相当スピードを上げないと追い抜けません。思ったより追い抜きの時間がかかります。対向路線にはみ出して走るといきなり前方のカーブ道から対向車があらわれたりして、あわをくって急ブレーキを踏むと自車は横滑りになり道路をふさぐ状態で衝突事故になります。車を追い抜くのは前車が停止している場合のみにかぎってください。

 

Q6 早朝からトラックを運転しています。前夜からの降雪で、いつも通っている峠道ですが、まわりの景色が普段と全然ちがいます。雪は浅いですが、前方の雪道に轍(わだち)の跡がありません。私が、一番に?通行するようです。もちろん後輪にはタイヤチェーンをつけています。若干の不安と恐怖がありますが、このまま進んでいっていいのでしょうか?もちろん決められた納品時間などあり、あせっています。

 

A 基本的にはそのような道は自分に通行禁止とすべきです。会社の配車係りに連絡をとり、「通行不能」と報告してください。判断できるのは現在あなただけですから、そうした雪道はかなりの危険なトラップ(わな)が仕掛けてあります。

迂闊に入り込むとその先には立ち往生と隠れた側溝にタイヤを落とし込むなどの危険が待ち構えています。

 

 

    低い橋桁(防護構)

 

きのうはパチンコで大勝ちした。余韻に浸ってルンルン気分で走行中、突如目の前に現れた防護構(桁下2mの表示)。低い橋桁にトラックの後退を余儀なくされる。ミラーを見ると自車の後ろには、金魚の糞よろしく、乗用車の列。「あちゃー」こんな経験はないだろうか?。橋桁手前の防護構の鉄骨は無数の衝突痕跡ででこぼこに、いかに多くの車高ドライバーが目測を誤り、無謀にも桁に突っ込んでいったかを物語っている。こんな道路は、えてして回転して戻るスペースがないのが普通バック運転を余儀なくされる。夜間であると最悪。 

河川の堤防などに平行に走っている道路には電車線路の鉄橋がいたるところに架けられています。電車線路の構造上、河川を渡る鉄橋は大型車両や、車高の高い車の通行を意識されてつくられていないケースが多いのです。まずもって、知らない土地でそんなトラブルに出くわさないように、先輩同僚から事前に情報をしいれておくことが、とても大切です。そのためには

 

①自分の運転する車の実寸の高さを事前に調べておくことが大切です。平ボデイ車であれば、当然積み荷の高さも考慮しなくてはなりません。

 

②箱車やウイング車などは、カタログやマニュアル書で諸元表を確認しておく必要があります。忘れないように運転席の目立つところに車高などを掲示しておくのも一案です。メジャーなども常備しておくと役に立つかもしれません。

 

低い橋桁に万一出くわしたら、安易に判断せず。車をわきに寄せて、慎重に橋桁と自車の高さを確認してください。くれぐれも目見当で 進行しないでください。

 

 

   

 

 トラックと船の衝突事故

 

とある運送会社、ようやく仕事の段取りを終えてほっとしている配車係に一本の電話がはいった。

「こちら静岡の警察交通係の者ですが、お宅の会社のトラックが事故を起こした模様、運転手は救急搬送されたようです。現地に至急責任者を向かわせてください」

「えっ、事故ですか、どういう状況ですか」「何でも、船と衝突したらしいです。詳細は現地で・・・」船とトラックの衝突!!どういうこと?ありえない!配車係絶句。取りあえず担当者に連絡、担当者は詳しい状況もわからないまま現地に急行した。携帯電話もまだ普及してない時代の話である。知らされた現地の事故現場に到着した担当者は思わず目を疑った。確かにわが社のマークと社名のトラックが前部が無残にも大破して、その前には二艘の漁船が壊れている。トラックが一艘の船を突き破って、二艘目で止まったという構図だ。

実は、漁港の浜に陸揚げされている漁船に浜に並走する国道筋から運転を誤り、国道を大きく離脱して、浜に陸揚げ中の漁船に突っ込んだというのが、真相なようだ。

 

これには、後日談がある。当の大破した漁船二隻はじつは桜えびを獲る漁船であった。桜えびは秋と春に獲れるこの地方でしか獲れない貴重な水産物で、当時は春の漁獲の解禁日を直前に控えて、待機中の漁船であったらしい。もちろんトラックには当然保険が掛けられており、一方的にトラック側に責任があることは明白であるので、つぶれた漁船の修理は保険の対象となるが、賢明な読者諸氏はこのあたりでお解りだろう。つぶれた漁船の修理は相当期間を要し、解禁の桜えび漁には当然間に合わないし、自動車のように代替えの船を用意するというのも、不可能であったようだ。

保険会社はもちろん船の修理費用は補填されるし、人的な被害があればそれも補償されるが、漁船側は桜えびシーズン漁獲の休漁を余儀なくさせられる莫大な水揚げ機会を失った損失や、就業予定の多数の漁船員の休業補償を要求してきたそうだ。これには保険会社、当の運送会社、漁業者間で、補償のわくをめぐって当惑し、解決が長引いたようだ。その解決結果については詳しく承知していないが、当の運転手は無事退院して復帰したと聞きます。

トラックなどの事故は、相手の人的な事故がなかったとしても、保険でカバー出来ない大変な補償を余儀なくされる事例が本件のようにあることも認識し、ドライバーの皆さんくれぐれも安全運転を宜しくお願いします。

そうそう、その地方にいったドライバーさんお土産にサクラエビお願いします。

あのかき揚げどんぶりなんか絶品ですよね。 

 

 

 

 

   トラックの盗難?

 

とある運送会社、配車係に自社ドライバーから携帯電話が入った。

「大変です。道路に駐車中の私のトラックが、用事をすまして戻ってくるとなくなっているんです。どうも乗り逃げなんかされたようで、かげも形もないんです」 配車係「乗り逃げ?いまどこにいるの、キーは抜いてなかった?警察には連絡した?」少しやり取りしていると、電話に割り込むようにドライバーに話しかける声が、「ちょっと待ってください」耳をすますと当のドライバーに横から何やら話しかける声が・・・、電話しばらく中断。当のドライバー再度電話に出て「あの~坂道の下にフェンスを壊して止まっているトラック。あんたの車じゃないの?」と言われましたので確認にいってきます・・・ちょっと待ってください」

配車係、耳を疑う。エーそれって坂道無人暴走したのじゃないの?

案の定、坂道の下のT字路の道路の民家のフェンスを壊してトラックが止まっていたそうだ。原因は、パーキンングブレーキの引きが甘く、シフトがニュートラル状態であったと推測された。

下の道路は無人状態であったのが、幸いであった。近所の人の話によると、小学生などが登下校の際によく通りかかる通学路でもあるそうだ。配車係は二重に冷や汗をかいた。

当のドライバーが最初、自車の位置を確認できなかったくらいだから、相当な距離を無人で移動したことになる。もちろん、運送会社は坂道などの駐停車時には、輪留め(タイヤストッパー)の留置を必須として義務付け教育しているが、新しいドライバーには徹底してなかったようだ。

ドライバーの皆さんは輪留めの必要性・重要性をこんな事例から充分認識し、重く受け止めてください。平坦であると思った地面もよく観察するとわずかに傾斜している道路や駐車場があります。

輪留め(タイヤストッパー)は特別な携行品ではありません。常時携行するように心がけてください。

 

関西の某電力会社の鉄棒の高いフェンスで囲まれた狭い変電所内で、事業所用軽自動車がタイヤの前後にがっちり輪留めをしていたのを見かけたことがあります。変電所内は多分平坦な作りになっていて、周りは強固なコンクリートで囲まれている。中で点検員らしき人が2名作業をしていたが、私はその環境での軽自動車の輪留めの必要性を感じられなかったが、日常危険な作業の多い職種の事業所の徹底ぶりを垣間見た気がして

少し感銘を受けました。